常夜の灯り

提案も強制も批判もしない、ただの記録です。

3等車から2等車へ

車掌に起こされる。時計を見ると朝の5時だ。

 

 

昨夜に身支度はしていたのでもう少し寝かせてほしかったのだが、到着するのは5時21分なのだし、シーツを畳んだりチケットを返してもらったりする必要があるのでこれは僕の我儘なのだろう。

 

身動きがとりにくいアッパーベッドで身を捩りながらシーツを畳む。

 

 

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定刻で、この電車の終着地点であるノヴォシビルスクに到着した。この電車に乗ったイルクーツクから距離にして1850km、時間にして32時間の移動だった。

 

写真からも分かるように、気温は11度だ。

 

ノヴォシビルスクはロシアで3番目に人口が多い都市だからか、駅舎は立派だ。調べたところでは歴史的なものなので観光地の一つだという。

 

 

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二人とも寝惚けたまま駅舎に入り、チケットオフィスへと向かう。

親友の帰国が早まったため、チケットがあれば今日のうちにノヴォシビルスクを発ち、モスクワの滞在に時間を割こうと考えたからだ。

 

チケットオフィスの方が言うことには、今日の電車は10時8分、二人ともアッパーベッドのみ。そうでなければ明日の電車しかない、とのことだった。

3等車も調べてもらったが結果は同様だったため、10時過ぎの電車に決めた。

 

 

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11648ルーブル(日本円で約18000円!)でチケットを取り、今日のチケットが無ければノヴォシビルスクで泊まる予定だった安宿をリストから削除した。

 

 

引き続き駅構内を散策する。椅子にはまだ眠っている人が多くいる。

 

駅の端にシャワーの表示を見つけた。駅に併設するホテルのシャワーを利用することができるようだ。

カウンターにいる女性に話しかけたが、朝6時にもなっていない時間にシャワーを利用する客がいると思わなかったのだろう。面倒臭そうに対応された。250ルーブルと少々高かったが、使わせてもらえるだけで満足だ。

 

 

シャワーブースは広いとは言えず、脱衣所という脱衣所もなかったので服を濡れた床に落とさないように着替える必要があり不便だったが、イルクーツクの宿では温水が出なかったし、2日間シャワーを浴びていなかったので旅の垢が落とされ、身体の芯から温まったような気がした。2人とも疲れ切っていたが、自然と笑顔になった。

 

 

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ノヴォシビルスクの滞在は5時間弱になってしまったが、早朝だし疲れていたので観光はせずにゆっくりすることにした。

適当な椅子に陣取り、荷物を下ろす。

湯冷めしている気がしたので(ドライヤーなんてあるはずがない)駅のカフェでカプチーノを2つ買って持って来た。

 

 

暫く身体を休めることができたので、駅の周りを散策することにした。

 

 

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駅の周りの広場には朝の冷たく締まった風が吹き抜けている。駅を利用する人が往来し、仕事に行く人が朝食を摂っている。

 

 

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後ろを振り返ると、やはり観光地なだけあり駅舎は素晴らしく綺麗だった。東欧的な色彩が早朝の空の色と偶然にも合っていた。

 

 

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駅の前の商店で煙草を買った。当地の国外の煙草は高いのが通例だが(税金の関係か?)その中でも比較的安かったウィンストンを買った。

 

 

駅の周辺を散策するついでに、Wi-Fiがあるカフェを探すことになった。移動の際に携帯電話ばかり使うのも良くないが、数十時間の移動の中で時間つぶしに頼るべき時もある。Wi-Fi環境下でダウンロードしておきたいものがあった。

 

 

駅前のバーガーキングにはWi-Fiがあるだろうと思って入ったが、無いとのことだった。店に入ってしまったので朝食を摂る。

 

 

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キャラメルのアイスは朝食ではないだろうが、シベリア鉄道売店の価格に慣れた僕にとってはセットメニューは高く感じられたので。

親友はちゃんとしたセットを食べていた。

 

食べてからもWi-Fiを探しながら散歩をしたが、大抵の場所には無いか、ロシアの電話番号が無ければ使えないものばかりだった。

 

 

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AKIRA YAMAOKAという日本人が来るらしい。知らなかったが、調べたらゲーム音楽を作る人らしい。

 

 

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おそらく古いが由緒のあるホテルなのだろう、パーク・ホテルのカフェにも入ったがWi-Fiは提供されていなかった。

 

段々と、Wi-Fiを探すことが目的になっているようで貧しいように感じられたし、親友はWi-Fiが無ければ無いで良さそうだったのでこれ以上付き合わせるのも悪く思い、親友は先に駅に戻り、僕は散策を続けることにした。

 

 

親友は日本の空港でレンタルしてきたポータブルWi-Fiを持っていたので、本当ならば必要は無かったのかもしれない。

だが、僕の「ポータブルWi-FiやSIMカードの類を持たない」という信条は僕だけの勝手なものだったので彼のものを都合よく使うのも悪いと思っていた。

ポータブルWi-Fiは一日毎に使用可能量がリセットされるため、それを超えない範囲では追加料金はいらなかった。そのため、僕が少々使っても大丈夫ではあった。実際、一日に数回使わせて貰っていた。

 

しかし、料金を払っているのは親友だし、仮に僕が追加の料金を払ったとしてもシベリア鉄道では大きな駅に停車している時しか電波が届かなかったので、やはりWi-Fiは探す必要があると思われた。

 

 

駅の周辺にインターネットカフェがあったので頼みの綱としたが、入ってみるとWi-Fiは無かったどころか薄暗い店内に様子の怪しい男が何人も机に突っ伏していた。あまり良くない場所だったので足早に去った。

 

 

旅の趣はないかもしれないが、Wi-Fiが使える場所を調べておくことは必要だと感じた。そうでなければ、このように更に趣のない散策をしてしまうことになる。

 

 

駅前にあった安いケバブ屋で朝食のケバブを食べた。

発車の時間が迫っていたので、昼食のためのパンを買って駅に戻った。

 

 

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親友と合流して、停車していた電車に飛び乗った。

この電車に乗っていれば、52時間後にはモスクワに着くのだ。

 

しかも、今回の移動は2等車。3等車も今や苦ではないのだが、それでもやはり2等車は快適さが段違いなので嬉しい。旅をしている時には必要以上に節約してしまうので、こういう時にお金を使うのも良い。どうせいつも予算以内に収まるのだし。

 

 

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やはり2等車は快適だ。

 

僕らの他に2人いるとは言え、個室だし収納のスペースは多いし、コンセントも充実しているし車両の設備も綺麗だ。

 

ノヴォシビルスクの駅で買ったパンを食べた。

薄いパンの中にボソボソとした味のないそぼろのような肉が入っており、お世辞にも美味しいとは言えなかった。

 

 

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何故かいつもサモワールの写真を撮っている。

 

 

今回はこれまでの旅で初めてか、2人ともアッパーベッドだった。下に男性が一人いたが、昼間だったので横になって向かい合って話すことができた。

 

 

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ここから夕方までは長く暇な時間。本を読んだり、ラジオを聴いたり、旅行記を書いたりした。

また、以前Twitterで「旅の途中で出たレシートやチケット、果てはお菓子や飲み物のラベルをノートに貼っておくと良い思い出になる。」という投稿を見たため、なるべく多くのごみを取っておいたのだがそれをノートにスクラップしていった。これは楽しい作業だった。

 

 

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確か、バラビンスクという駅だった。

14時前から30分間停車したが、特に何も無かった。

 

 

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煙草を吸って歩き回った。

 

 

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魚の干物を腰に吊り下げて売り歩く女性。人のいるところに商売があることを実感。

 

 

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小さな売店だが、一日に数回、数十分の駅に停車するだけの乗客には頼みの綱だ。車内にもいくつかの飲食物は売っているが高いし、種類が限られているからだ。

 

 

そのまま17時過ぎまで時間を潰した。

 

いや、時間に追われておらず、先の予定もない僕らに「時間を潰す」という表現は妥当ではないように感じられる。何かをする必要も、潰す必要も、有意義に使う必要もない。何もしないならばそれでいい。無意味さ以外の意味は必要ではないのだ。

 

 

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夕刻、オムスクに着いた。同じコンパートメントの男は降りた。

 

 

 

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